有害金属ごとに異なる?デトックスに役立つ栄養素とは
食品や生活環境など、身の回りに潜む有害金属。
気を付けていても、日常生活を送る上で自然にからだに取り込まれてしまいます。
これらは栄養素の吸収を阻害する上に、不調や病気の原因となり得ることから、
体に溜め込まず、しっかりと排出してあげる必要があります。
まずはなるべく取り込まないように避けることも重要ですが、食品のみならず大気中や水、身の回りのものに少しづつ含まれているため、日常生活で全く取り込まないというのは難しいです。
また、あれもこれもだめ…といって食べるものを極端に制限すると、ミネラルバランスの偏りにも繋がってしまいますので、やみくもに避けるのではなく、デトックスに役立つ栄養素をバランスよくお食事に取り入れていただくことがおすすめです。
有害金属には種類によってそれぞれ排出に有効とされている栄養素があります。
今回は、有害金属ごとにデトックスに有効と言われている栄養素と食品をご紹介いたします。
水銀のデトックスには
アルミニウムのデトックスには
鉛のデトックスには
ヒ素のデトックスには
カドミウムのデトックスには
有害物質についてはこちら▼
水銀のデトックスには
水銀の潜む場所
歯の詰め物(アマルガム)、ワクチンの保存料(メチロサール)、プラスチック、印刷用インク、農薬、電球
大型の魚や深海魚(クジラ、マグロ、カジキ、金目鯛など)
水銀のデトックスに役立つ栄養素
セレン
多く含まれる食品
ブラジルナッツ、魚介類、レバー、卵、肉類
亜鉛
多く含まれる食品
牡蠣、貝類、レバー、赤身の肉、ナッツなど
オメガ-3脂肪酸
多く含まれる食品
魚介類(サバ、マグロ、サンマ、イワシなど)、亜麻仁油、チアシード、くるみ
ビタミンC
多く含まれる食品
オレンジ、グアバ、パイナップル、イチゴ、レモン、ブロッコリー、トマト、ピーマンなど
アルミニウムのデトックスには
アルミニウムの潜む場所
アルミ缶、缶詰、アルミ製の調理器具、アルミホイル、食品添加物、化粧品、制汗剤、
土壌、大気、野菜、穀類、魚介類、水道水、胃薬 など
アルミニウムのデトックスに役立つ栄養素
シリカ
多く含まれる食品
玄米、大豆、キュウリ、キャベツ、オート麦
セレン
多く含まれる食品
ブラジルナッツ、貝類、卵、肉類、魚介類、大豆製品
ビタミンE
多く含まれる食品
アーモンド、ヘーゼルナッツ、ピーナッツ、アボカド、オリーブオイル、サンフラワーオイル、大豆油
ビタミンB
多く含まれる食品
魚介類、牛肉、豚肉、鶏肉、レバー、卵、牛乳、大豆製品、キノコ
鉛のデトックスには
鉛の潜む場所
プラスチック、クリスタルガラス、陶磁器、古い水道管、排気ガスなど
鉛のデトックスに役立つ栄養素
カルシウム
多く含まれる食品
牛乳、チーズ、ヨーグルト、緑黄色野菜、小魚、海藻類、豆類など
鉄
多く含まれる食品
レバーや赤身の肉、魚貝類、豆類、葉物野菜
亜鉛
多く含まれる食品
牡蠣、貝類、レバー、赤身の肉、ナッツなど
ビタミンC
多く含まれる食品
柑橘類、ブロッコリー、イチゴ、パイナップルなど
特に、カルシウムは鉛の吸収を防ぐ効果が高いため、十分な量を摂取することが重要です。また、ビタミンCは、鉄や亜鉛の吸収を促進するため、同時に摂取することで相乗効果が期待できます。
ヒ素のデトックスには
ヒ素の潜む場所
土壌、水、穀類、魚介類、殺虫剤、タバコ、ガラス、顔料、電子機器、井戸水、工場排水 など
ヒ素のデトックスに役立つ栄養素
セレン
多く含まれる食品
魚介類、肉類、穀類、ナッツなど
亜鉛
多く含まれる食品
貝類、赤身の肉、ナッツなど
ビタミンC
多く含まれる食品
野菜、果物など
ビタミンE
多く含まれる食品
植物油、ナッツ、穀類など
特に、セレンはヒ素の排出に有効であるとされており、亜鉛やビタミンC、ビタミンEも相乗効果が期待できます。
カドミウムのデトックスには
カドミウムの潜む場所
タバコ、土壌、穀類、排気ガス、電子機器、プラスチック、ガラス、陶磁器、画材、金属のコーティング
カドミウムのデトックスに役立つ栄養素
セレン
多く含まれる食品
ブラジルナッツ、鶏肉、エビ、豆類など
ビタミンC
多く含まれる食品
レモン、オレンジ、グアバ、トマト、ピーマンなど
グルタチオン
多く含まれる食品
アボカド、アスパラガス、にんじん、ほうれん草など
インドール-3-カルビノール
多く含まれる食品
ブロッコリー、キャベツ、カリフラワーなど
自分のカラダを知って、効果的にデトックスをしよう!
今回は、有害金属のデトックスに有効とされる栄養素と食品を紹介させていただきました。
上記以外にも、マグネシウム、カリウム、モリブデン、マンガン、クロムなどのミネラルは解毒を促す作用があるとされています。
これらのミネラルが不足すると有害金属が体に吸収されやすくなったり排泄が遅れたりしてしまいます。
栄養素にはバランスが大切で、どれか一つの栄養素を摂ればデトックスができるというものではありません。
これらの栄養素をバランスよく摂り、健康的な食習慣を維持することが重要です。
また、デトックスには腸内環境を整えることも大切ですので、食物繊維や酵素を含む食品も取り入れるようにしましょう。
参考コラム:今すぐ取り入れたい、日常でできるデトックス習慣
※気になる症状のある方や、より詳細な健康管理を実施したい方は、自己判断せずに医師にご相談いただくことをおすすめします。
今回ご紹介したように、有害金属の種類によってデトックスに有効な栄養素は異なります。
デトックスの第一歩として、
まずは自分のカラダにどんな有害金属がたまっているかをチェックすることがおすすめですよ。
<参考>
「Methylmercury exposure and health effects in humans: A worldwide concern」(2013年)
「Dietary exposure assessments for methylmercury based on total diet study in Japan, 1977–2013: An impact of seafood, fish and shellfish」(2017年)
「Methylmercury exposure and health effects in humans: A worldwide concern」(2013年)
「Dietary exposure assessments for methylmercury based on total diet study in Japan, 1977–2013: An impact of seafood, fish and shellfish」(2017年)
「Fish as a Major Source of Methylmercury and Health Effects of Methylmercury Exposure」(2017年)
「アルミニウムの中毒予防に関与するシリカの機能」(日本栄養・食糧学会雑誌、2001年)
環境科学研究所研究報告 第235号、2014年
Environmental Health and Preventive Medicine, 22(1), 2017
Miyazaki et al., 2006
田中康生, 「セレンの疫学的役割」, 日本疫学会雑誌, 2003年
食品安全委員会, 「ヒ素に関する総合評価」, 2013年
Sano, Y., et al. (2012). Effects of selenium supplements on cancer prevention in a high-risk group for the development of liver cancer: a randomized controlled trial. Hepatology Research, 42(2), 176-186.
Sugiyama, K., et al. (2010). The effect of ascorbic acid supplementation on the serum levels of lead and cadmium among smelting workers. Journal of Occupational Health, 52(4), 224-230.
Kimoto, T., et al. (2003). Effect of glutathione on cadmium excretion in healthy Japanese subjects. Industrial Health, 41(1), 21-25.
Ohnishi, K., et al. (2015). Indole-3-carbinol, a vegetable phytochemical, inhibits adipogenesis by regulating cell cycle-related genes in 3T3-L1 preadipocytes. Journal of Nutritional Science and Vitaminology, 61(5), 437-444.
国立研究開発法人 科学技術振興機構
国立情報学研究所
病気の9割はデトックスで防げる!評言社・内山葉子著